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嵐で発生する地震 Stormquake

更新日:2021年8月12日

地球の振動といえば多くの人が地震を思い浮かべるでしょう。日本は地震大国なので多くの人が地震を経験したことがあると思います。地震は私たちの生活に大きな影響・被害を与えます。2011年にはマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生し、多くの被害が生じました。最近では南海トラフ地震や首都直下型地震などの発生が心配されています。そのような地震がなんと嵐が接近した時に起きるというのです。


2019年、フロリダ州立大学のWenyuan Fanらの研究グループは、ハリケーンによってマグニチュード3.5の地震に匹敵するエネルギーが発生する場合があることを発見しました。彼らはこのイベントに対して嵐(Storm)によって振動する(Quake)という意味でStormquakeという言葉を用いて表現しました。

この画像はイメージです。(Free-PhotosによるPixabayからの画像)


通常の地震は地中の岩石に応力が加わることで歪が蓄積され、小さな割れ目がつながって岩石が破壊されることによって発生します。地震の発生メカニズムについてはこちらの記事に詳しく書いているので、ぜひ参照してください。


一方でStormquakeでは岩石の破壊は起きていません。Wenyuan Fanらの論文によると、Stormquakeは海底の地形的特徴と海洋波を励起する嵐の相互作用によって生じ、マグニチュード3.5以上の地震に相当する地震エネルギーを発生させることがあるといいます[1]


しかし、すべての嵐がStormquakeを発生させるわけではありません。海底の地形的特徴と書きましたが、Stormquakeの発生には強い嵐に加えて、大きな大陸棚と碓が必要であることが示唆されています。現時点では、Stormquakeに関する論文はWenyuan Fanさん達のものしか出ておらず、北アメリカ大陸周辺でしか調査されていません。もしこの仮説が正しければ、条件を満たすほかの地域でもStormquakeが検出されるかもしれませんね。



引用

  1. Wenyuan Fan , Jefferey J. McGuire, Catherine D. de Groot-Hedlin, Micheal A. H. Hedlin, Sloan Coats, and Julia W. Fedler (2019). Stormquakes, Geophysical Research Letters, Volume 46, Issue 22, p.12909-12918, doi: 10.1029/2019GL084217




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